今回ご紹介するのは「ポール・ゴーギャン」です!
ゴーギャンと言えば、こういう「タヒチの女性」を描いた作品で有名です。
しかし、気付きました?
そう、犬の絵も描いてるんです。
しかも、その量が尋常じゃない。
単純なことにゴーギャンが大の犬好きだったのかもしれません。
タイトルに「犬」を入れた作品は3つありますし、晩年にはペゴーという犬も飼っていました。
そんな愛犬家(かもしれない)ゴーギャンの作品をお楽しみください!
- 1 ポール・ゴーギャンってどんな人?
- 2 ゴーギャンの犬作品
- 2.1 2人のブルターニュの人々と仔牛、ブルターニュの道の周りの風景
- 2.2 ブルターニュの3人の少女の輪舞 ポン=タヴァン
- 2.3 三匹の仔犬がいる静物
- 2.4 こんにちは、ゴーギャンさん
- 2.5 ジャンヌダルク
- 2.6 机の上の果物と犬
- 2.7 海草を集めるブルターニュの人々
- 2.8 私はラロ、あなたはオヴィリ
- 2.9 大木
- 2.10 私はラロ、あなたはオヴィリ
- 2.11 小屋の前の犬、タヒチ
- 2.12 パペに行く
- 2.13 愉び
- 2.14 タヒチの牧歌
- 2.15 プラオの樹
- 2.16 神の日
- 2.17 デビッドミル
- 2.18 働くなかれor部屋の中のタヒチ女たち
- 2.19 女王
- 2.20 我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか
- 2.21 夢
- 2.22 おめかし
- 2.23 果実収穫
- 2.24 二人の子供とタヒチの女
- 2.25 浅瀬or逃亡
- 2.26 犬のある風景
- 3 さいごに
ポール・ゴーギャンってどんな人?
名前 | ポール・ゴーギャン |
生没年 | 1848年 – 1903年 |
影響を受けた画家 | カミーユ・ピサロ ポール・セザンヌ エドガー・ドガ フィンセント・ファン・ゴッホ エミール・ベルナール |
代表作 | 黄色のキリスト(1889) タヒチの女たち(1891) |
19世紀フランスのポスト印象派の画家。
綜合主義やクロワゾニズムと言われる表現を生み出したり、プリミティヴィズムを先行したりと、美術史に多大な影響を与えた人物です。
生前も評価を受けていたが、死後さらに評価を得ました。
略歴
年 | 年齢 | 出来事 |
1848年 | 0歳 | パリで生まれる。 |
1851年 | 3歳 | 父親を亡くす。 |
1867年 | 19歳 | 母親を亡くす。 |
1871年 | 23歳 | 株式仲買人として働く。 その後11年間、実業家として成功する。 |
1873年 | 25歳 | メット=ソフィー・ガッドと結婚する。 絵を描き始める。 |
1883年 | 35歳 | 絵に専念する。 |
1886年 | 38歳 | ブルターニュ地方のポン=タヴァンの画家のコミュニティで暮らす。 |
1888年 | 40歳 | ゴッホと共同生活をする。 |
1891年 | 43歳 | タヒチに行く。(1回目) |
1895年 | 47歳 | タヒチに行く。(2回目) |
1897年 | 49歳 | 娘を亡くし、自殺においこまれる。 |
1901年 | 53歳 | マルキーズ諸島に移動 |
1903年 | 55歳 | 逝去 |
画風
ポスト印象派。
フォークアートと日本の浮世絵の影響を受け、クロワゾニスムへと向かっていきました。
その他、綜合主義、プリミティヴィズム、象徴主義、現代美術の画家としても知られています。
ナビ派に影響を与えました。
代表作
作品名 | 黄色のキリスト (The Yellow Christ) |
製作年 | 1889年 |
所蔵 | オルブライト=ノックス美術館 |
サイズ | たて 92 x よこ 73 cm |
作品名 | タヒチの女たち (Femmes de Tahiti, ou Sur la plage) |
製作年 | 1891年 |
所蔵 | オルセー美術館 |
サイズ | たて 69 x よこ 91.5 cm |
ゴーギャンの犬作品
2人のブルターニュの人々と仔牛、ブルターニュの道の周りの風景
作品名 | 2人のブルターニュの人々と仔牛、ブルターニュの道の周りの風景(Bretonnes au tournant d’une route, ou Bretonnes et veau) |
製作年 | 1888年 |
所蔵 | ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館 |
サイズ | たて 91 cm × よこ 72 cm |
真ん中下に黒い犬。
首輪がつけられていることから、誰かに飼われていたようですね。
これからご紹介する3作は「南フランスのアルル」という場所で描かれた作品です。
なんと、ゴーギャンはこの時期ゴッホといっしょに生活していたそうです。
でも、仲が悪くなってゴーギャンはゴッホの耳を切ったとか。
やべーやつ。
ブルターニュの3人の少女の輪舞 ポン=タヴァン
作品名 | ブルターニュの3人の少女の輪舞 ポン=タヴァン(Breton Girls Dancing, Pont-Aven) |
製作年 | 1888年 |
所蔵 | ナショナル・ギャラリー |
サイズ | たて 73 cm x よこ 93 cm |
3人の踊る少女と犬。
『バックトゥザフューチャー』のアインシュタインに似てます。
ちなみに、2011年、京都と東京で開かれた「ワシントンギャラリー展」を記念して、この犬がピンバッジになって販売されていました。
欲しいけどもう手にいれられないっぽい。
三匹の仔犬がいる静物
作品名 | 三匹の仔犬がいる静物(Nature morte aux trois petits chiens) |
製作年 | 1888年 |
所蔵 | ニューヨーク近代美術館MoMA |
サイズ | たて 88 × よこ 62.5 cm |
ミルクか何かを飲んでいる3匹の仔犬たち。
3匹とも模様が違って、シンプルにかわいい。
しっかりした輪郭線から、クロスワニズムという表現で描かれていることが分かります。
クロスワニズムとは
平坦な色面としっかりした輪郭線を特徴とする描き方(Wikipediaより)
これまでの3作が「ブルターニュ2期」に分類される作品です。
1期はというと、単純に犬の絵が描かれていなかったので省いています。
こんにちは、ゴーギャンさん
作品名 | こんにちは、ゴーギャンさん(Gauguin Bonjour Monsieur Gauguins) |
製作年 | 1889年 |
所蔵 | プラハ国立美術館 |
サイズ | たて 113× よこ 92 cm |
柵の向こうに小さい犬。
シュナウザーかな?
ここからの4作はフランスの「クロアール=カルノエ」という場所で描かれた作品です。
この作品、実は2種類あります。
彩度の違い以外に、よく見るとびみょーに違うところがあるので、どこが違うか探してみてください。
ジャンヌダルク
作品名 | ジャンヌダルク(Jeanne d’Arc, ou Jeune Bretonne au rouet) |
製作年 | 1889年 |
所蔵 | ゴッホ美術館 |
サイズ | たて 134 x よこ 62.9 cm |
ジャンヌダルクの下にいる白い犬。
ヤギにも見える。
机の上の果物と犬
作品名 | 机の上の果物と犬 |
製作年 | 1889年 |
所蔵 | – |
サイズ | 46.5 cm × 53 cm |
机の向こうにいる犬。
海草を集めるブルターニュの人々
作品名 | 海草を集めるブルターニュの人々(Ramasseuses de varech) |
製作年 | 1889年 |
所蔵 | フォルクヴァンク美術館 |
サイズ | たて 87 x よこ 123 cm |
左下に黒ぶちの白い犬。
ゴーギャンの絵に出てくる犬は首輪をしている犬が多いようですね。
ここまでの4作が「ブルターニュ3期」に分類される作品です。
ところで「ブルターニュ」とは、フランス北西部の地域の名前です。
このブルターニュ地方にある「ポン=タヴァン」という街は、「画家たちのまち」と言われ、有名な画家たちが共同生活を行い日々画業に勤しんでいました。
私はラロ、あなたはオヴィリ
作品名 | 私はラロ、あなたはオヴィリ(Raro te oviri) |
製作年 | 1891年 |
所蔵 | ダラス美術館 |
サイズ | たて 68 x よこ 90 cm |
2人の女性に囲まれた黒い犬。
ここからの8作品は「タヒチ」で描かれた作品です。
ゴーギャンはこれでもかというくらいタヒチで絵を描いています。
特にヌード多めです。
大木
作品名 | 大木(Te raau rahi) |
製作年 | 1891年 |
所蔵 | クリーブランド美術館 |
サイズ | たて 68 x よこ 90 cm |
右下にまるまって寝る犬。
奥にいる黒いのも犬かなー?
私はラロ、あなたはオヴィリ
作品名 | 私はラロ、あなたはオヴィリ(Te Faaturuma) |
製作年 | 1891年 |
所蔵 | ダラス美術館 |
サイズ | たて 68 x よこ 90 cm |
ベランダでお出迎えする黒い犬。
こういう家に住みたい。
小屋の前の犬、タヒチ
作品名 | 小屋の前の犬、タヒチ(Dog in front of a Hut Tahiti) |
製作年 | 1892年 |
所蔵 | ボストン美術館 |
サイズ | 41.2 x 67.1 cm |
右下で草を食べている黒い犬。
気付きました?
タヒチの犬、黒ばっか。
パペに行く
作品名 | パぺに行く(Haere Pape) |
製作年 | 1892年 |
所蔵 | バーンズ・コレクション |
サイズ | たて 91.2 x よこ 66.4 cm |
奥で水を飲んでいる黒い犬。
え、ちょっと見てください!また黒い!
愉び
作品名 | 愉び(Arearea) |
製作年 | 1892年 |
所蔵 | オルセー美術館 |
サイズ | たて 75 × よこ 94 cm |
手前で草を食べる茶色の犬。
いやいやいや、黒ちゃうんかい!
ちなみにタイトルの漢字は「たのしび」と読みます。
タヒチの牧歌
作品名 | タヒチの牧歌(Pastorales Tahitiennes) |
製作年 | 1892年 |
所蔵 | エルミタージュ美術館 |
サイズ | たて 87.5 x よこ 113.7 cm |
ふせをいる茶色い犬。
この犬も茶色。色ばかり気になってきました。
プラオの樹
作品名 | プラオの樹(Te burao) |
製作年 | 1892年 |
所蔵 | エルミタージュ美術館 |
サイズ | たて 67 x よこ 89 cm |
何かを探している黒い犬。
はい、きた。黒い犬!
もう、待ってましたって感じでしょ?
ここまでの8作は「タヒチ1期」に分類される作品です。
ゴーギャンの傑作の多くはこの時期に描かれています。
ちなみに、出てきた犬は、「黒6:茶色3」で黒の勝利です。
神の日
作品名 | 神の日(Mahana no Atua) |
製作年 | 1894年 |
所蔵 | シカゴ美術館 |
サイズ | たて 66 x よこ 87 cm |
木陰で涼む犬。
か、もしくは猫かもしれません。
たまに、犬か猫かヤギが見分けがつきにくい動物が描かれています。
ここからの2作品は「パリ」で描かれた作品です。
パリに戻った後も、タヒチを題材に絵を描いていたので、タヒチの絵が多いんです。
デビッドミル
作品名 | デビッドミル(Paysage de Bretagne. Le moulin David) |
製作年 | 1894年 |
所蔵 | オルセー美術館 |
サイズ | たて 73 × よこ 92 cm |
何かを探している犬。
大きいのでゴールデンレトリバーかもしれませんね。
この2作品は「ブルターニュ4期」に属する作品です。
働くなかれor部屋の中のタヒチ女たち
作品名 | 働くなかれor部屋の中のタヒチ女たち(Eiaha ohipa) |
製作年 | 1896年 |
所蔵 | プーシキン美術館 |
サイズ | たて 65 × よこ 75 cm |
家の外でたたずむ犬。
タヒチに戻ってきたゴーギャン。
はい、犬もちゃんと黒いです。
ここからの8作品は2回目の「タヒチ」で描かれた作品です。
女王
作品名 | 女王(Te Arii Vahine) |
製作年 | 1896年 |
所蔵 | プーシキン美術館 |
サイズ | たて 97 x よこ 130 cm |
全裸の女性うしろにいる犬。
黒いよ~黒いよ~。
我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか
作品名 | 我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか(Woher kommen wir Wer sind wir Wohin gehen wir) |
製作年 | 1897年 – 1898年 |
所蔵 | ボストン美術館 |
サイズ | 139.1 cm × 374.6 cm |
右は端に黒い犬。
そろそろ絵の説明しないと怒られそうなので説明します。
この作品はゴーギャン自身も傑作と認めている作品だそうです。
しかしこの頃、娘を亡くしたショックとたまった疲労で、自殺まで追い込まれました。
夢
作品名 | 夢(Te rerioa) |
製作年 | 1897年 |
所蔵 | コートールド・ギャラリー |
サイズ | たて 95 x よこ 130 cm |
人間の左隣りにいるのが犬。
かもしくは、猫。自信ないです。
おめかし
作品名 | おめかし(Faa iheihe) |
製作年 | 1898年 |
所蔵 | テート・ブリテン |
サイズ | たて 54 x よこ 169.5 cm |
真ん中左に黒い犬。
果実収穫
作品名 | 果実収穫(Ruperupe) |
製作年 | 1899年 |
所蔵 | プーシキン美術館 |
サイズ | たて 130 x よこ 190 cm |
右端でお母さん犬が子供といっしょにいます。
二人の子供とタヒチの女
作品名 | 二人の子供とタヒチの女(Femme et deux enfants) |
製作年 | 1901年 |
所蔵 | シカゴ美術館 |
サイズ | たて 97.1 x よこ 74.2 cm |
右の女の子に抱えられた犬。
これも猫っぽいですが犬と思いましょう。
浅瀬or逃亡
作品名 | 浅瀬or逃亡(La Fuite, ou Le Gué) |
製作年 | 1901年 |
所蔵 | プーシキン美術館 |
サイズ | たて 73 x よこ 92 cm |
馬の後ろに犬。
タヒチの人が犬好きだったのか。ゴーギャンが犬好きだったのか。
ここまでの8作品が「タヒチ2期」に分類される作品です。
ここからゴーギャンはマルキーズ諸島に移動します。
犬のある風景
作品名 | 犬のある風景(Paysage avec chien) |
製作年 | 1903年 |
所蔵 | イスラエル博物館 |
サイズ | たて 73.5 × よこ 92.5 cm |
遊んでいる犬。
タイトルに犬が入っていますね。やはり犬好きだったようです。
この一作は「マルキーズ諸島」で描かれた作品です。
この島でゴーギャンの人生はおわりました。
さいごに
ゴーギャンは黒い犬が好き。
いろんな色の犬が見たい方はこちらの画家がおすすめ↓