これなら日本画も楽しめる!かわいい子犬に惚れた江戸の5人の絵描きたち

日本画。

 

高校で日本史を専攻した方がこの言葉を聞くと、作者と作品名を死ぬほど暗記した悪夢がよみがえる人もいるでしょう。
私には化政文化と元禄文化の違いが分からずセンター試験で命を落とした死者の叫び声が聞こえます。

 

 

ちょっと待ってください!そんなことで日本画を嫌いになるなんてもったいない!

仰々しい雰囲気を醸し出す『風神雷神図屏風』を描いた俵屋宗達も、
本物の雪と錯覚してしまう程の『雪松図屏風』を描いた円山応挙も、


こんなかわいい子犬の絵を描いているんです。
こんな絵ばかりだと日本画をもっと知りたくなりません?

 

 

 

そこで今回は、日本画嫌いのあなたも楽しめる!江戸時代の絵描きが愛したかわいい子犬たち展をお送りします!

もう日本画が嫌いなんて言わせないよ絶対。

 

 

円山応挙の作品

名前円山応挙(まるやま おうきょ)
生没年1733年~1795年
代表作『雪松図屏風』(1768)、『保津川図屏風』(1795)

江戸時代中期~後期、化政文化の絵師。

「円山派」の祖であり、写生を重視した親しみやすい画風が特色です。

そして、円山応挙は「犬をキャラクター化した人物」と言われています

西洋絵画の遠近法や透視的な写実方を取り入れるなど、日本絵画史の基礎をつくった画家です。

 

『朝顔狗子供図杉戸』

出典:Pinterest
作品名朝顔狗子供図杉戸(あさがおくしずすぎと)
年代1784年 江戸時代中期
所蔵東京国立博物館(東京)
寸法168.5 × 81.3cm

杉戸絵ということもあり、琳派の絵のようにデザイン性が高く、すっきりとおしゃれな印象。

朝顔の中で遊ぶ愛らしい犬の姿を上手くとらえ、人々の心を射止めるほのぼのとした作品にしたがっています。

人々に身近なものにも「美」を捉えるセンスが応挙の人気の秘密です。

 

『柳下狗子図』

出典:project.lib.keio.ac.jp
作品名柳下狗子図(やぎしたくしず)
年代1789年 江戸時代中期
所蔵大乗寺(兵庫)
寸法75.0 × 133.5cm

柳の下で遊ぶ仔犬の姿が描かれています。

お尻をあげているということは、子犬たちは地面に落ちた柳の葉をひっぱって遊んでいるのかな?

円山応挙は子犬の動作情景を的確に表現しているため、「応挙の狗」と言われ独自に人気を集めています。

 

『狗児図』

出典:アトリエ・マイルストン
作品名狗児図(くじず)
年代18世紀 江戸時代中期
所蔵不詳
寸法不詳

なんとも心地よさそうな仔犬の寝顔。

一番下の白い犬はちょっと重そうですね。

このように成犬ではなく、仔犬ばかり描かれているのを見ると、昔からこんまりとしてコロコロと丸いものが好きという日本人の感性は変わっていないように思えます。

 

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長沢芦雪の作品

名前長沢芦雪(ながさわ ろせつ)長沢蘆雪、長澤蘆雪とも表記
生没年1754年~1799年
代表作『群猿図屏風』(1787)、『正宗寺旧方丈障壁画』(寛政後期)

江戸時代の絵師。

円山応挙の優れた弟子で、師とは対照的に、大胆な構図・斬新なクローズアップを用い、奇抜で機知に富んだ画風を展開した「奇想の絵師」の一人

しかし、「応挙に破門された」「毒殺された」「自殺した」など不穏なウワサが多いです。

犬好きには有名な画家。

 

『降雪狗児図』

出典:Pinterest
作品名降雪狗児図(こうせつくじず)
年代18世紀 江戸時代中期
所蔵逸翁美術館(大阪)
寸法114.5 × 50.9cm

白い犬の口元と目元を見ると、ものめずらしそうに雪を見ているみたい。

一方、黒の犬はあまり興味を示していないのか、背中に雪がぽつり。

こういった白と黒の対比を意識的に取り入れた表現は初期の洋風画にみられていました。

水墨画を基調とした淡い画風の長澤芦雪に珍しい、濃厚な一作です。

 

『一笑図』

出典:mag.japaaan.com
作品名一笑図(いっしょうのず)
年代江戸時代中期
所蔵不詳
寸法不詳

「笑」という字は「竹」と「夭」からできています。

この作品は、「夭」を犬に見立てて描いています。

絵を見るとちゃんと竹の下に犬がいる!

 

仔犬たちも心なしか笑っているように見えます。

特に又の間からひょいと顔を出す犬が大好き。

 

『白象黒牛図屏風』

出典:Canon Global
作品名白象黒牛図屏風(はくぞうこくぎゅうずびょうぶ)
年代18世紀 江戸時代中期
所蔵仙台市博物館(宮城)
寸法155.3 × 359.0cm

屏風をはみ出してしまう程仰々しい黒牛と、お腹の近くにチョンと座る間抜けな顔をした白い子犬。

なんともおもしろい対比です。

作品名からわかる通り、実は黒牛の対比にはこれまた圧巻の白い巨象が描かれています。

そして、象の背中には小さな黒いカラスが2羽。巧妙な対比の使い方で、200年以上人を魅了し続けています。

 

このかわいい仔犬がシャツになってます↓

 

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伊藤若冲の作品

名前伊藤若冲(いとう じゃくちゅう)
生没年1716年~1800年
代表作『動植綵絵』(1766)、『仙人掌群鶏図』(1789)

江戸時代中期の京にて活躍した絵師。

写実と想像を巧みに融合させた「奇想の画家」として曾我蕭白、長沢芦雪と並び称されます。

近年再評価されている画家の一人で、2016年、東京都美術館で開催された「生誕300年記念 若冲展」では入館待ち時間320分を記録しました。

 

『百犬図』

出典:INU MAGAZINE(イヌ マガジン)
作品名百犬図(ひゃっけんず)
年代1799年 江戸時代中期
所蔵個人蔵
寸法142.7 × 84.2cm

おびただしい数の子犬たち!

作品名は「百犬図」ですが、実際は約60匹です。

一匹一匹違った模様・行動をしていますが、表情は何故か同じように見える少し不気味な作品。

伊藤若冲の他の作品同様、鮮やかな色づかいが特徴です。

 

『狗子と蝶図』

出典:古美術 景和
作品名狗子と蝶図(くしとちょうず)
年代18世紀 江戸時代
所蔵不詳
寸法97.4 × 27.2cm

飛んでいる蝶が気になり、前足を竹にかけた仔犬を描いた作品。

仔犬の目はチョンチョンと曖昧な形で描かれています。

これは、飛び回る蝶の動きをとらえきれず、目がきょろきょろとなっていることにこだわって表現しています。

 

『箒に狗子図』

出典:Fsの独り言・つぶやき
作品名箒に狗子図(ほうきにくしず)
年代18世紀 江戸時代
所蔵不詳
寸法不詳

なぜ、ほうきと犬の組み合わせかと言うと、「ほうき=ははき」から「母(はは)」にかけて、母親に安心して寄り添う仔犬の姿を描いたと言われています。

顔は見えませんが穏やかな表情を浮かべていることでしょう。

 

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仙厓義梵の作品

名前仙厓義梵(せんがい ぎぼん)
生没年1750年~1837年
代表作『○△□図』(不詳)、『豊干・寒山拾得図屏風 』(1822年)

禅味溢れる絵画で知られる江戸時代の臨済宗の禅僧、画家。

絵を依頼に来る人が紙を置いていくので、「おれの家は便所か」とツッコミを入れた狂歌を歌っています。

しまいには、悟りを開いたはずのお坊さんが晩年に「死にとうない」と、俗世に未練たらたらの一言

作風にも表れているように憎めない僧です。

 

『犬図』

出典:twitter
作品名犬図(いぬず)
年代19世紀 江戸時代後期
所蔵福岡市美術館(福岡)
寸法27.5 × 35.8cm

絵心ない芸人が描いたような作品ですが、一筆描きでひょいひょいと描かれた愛らしい仔犬の姿と「きゃふん」という鳴き声はなんとも味があります。

よく見るとひもはお腹にくくりつけられており、「きゃふん(ひもの付け方間違ってるよ)」とでも言ってるのでしょうか。

 

『いぬの年祝ふた』

出典:江戸ガイド
作品名いぬの年祝ふた(いぬのとしいわいうた)
年代江戸時代
所蔵不詳
寸法35.4 × 47.2cm

もはや犬に見えませんが立派な犬です。

飼い主と似て大きな鼻が特徴的。

博多の祝い歌を歌っている様子だと言われています。

 

『狗子画賛』

出典:江戸ガイド
作品名狗子画賛(くしがさん)
年代江戸時代
所蔵不詳
寸法不詳

犬図で「きゃふん」と鳴いていた犬と同様、棒に繋がれています。

しかし、ひげや毛並みの描写はこちらの犬の方が少し細かいです。

鳴き声は「きゃんきゃん」。

やはりこの作品も紐の付け方が気になる!

 

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俵屋宗達の作品

名前俵屋宗達(たわらや そうたつ)
生没年1570頃~1640頃
代表作『風神雷神図屏風』(寛永年間中頃)、『蓮池水禽図』(元和年間前半頃)

江戸時代初期の画家。

尾形光琳、酒井抱一などが有名な琳派の祖と言われています。

知名度の高さに反して、その生涯に不明な点が多いミステリアスな画家

当初は評価されていませんでしたが、大正2年の「俵田宗達記念会」で若い画家たちに影響を与え、再評価されました。

 

『犬図』

出典:ネット美術館「アートまとめん」
作品名犬図(いぬず)
年代17世紀前半 桃山~江戸時代初期
所蔵不詳
寸法90.3 × 45.0cm

琳派の画の特徴である「たらしこみ」の手法が用いられています。

手前に見えるのはたんぽぽやわらびなどの春の植物。

まるまるとしたシルエットの子犬が春の匂いにつられよちよちと歩きます。

 

『双犬図』

出典:All About(オールアバウト)
作品名双犬図(そうけんず)
年代17世紀前半 桃山~江戸時代初期
所蔵不詳
寸法不詳

じゃれ合う二匹の子犬の画。

黒犬は手触りのよさそうな質感のある作品です。

脚の毛並みが細かく表現されています。

 

『狗子図』

出典:山口蓬春記念館
作品名狗子図(くしず)
年代17世紀前半 桃山~江戸時代初期
所蔵神奈川県立美術館(神奈川)
寸法90.3cm×45cm

何もない空間に牛柄模様の子犬が一匹。

地面についた何かの匂いを熱心に嗅いでいます。

犬図と同じような姿でもう一作描くということは、よっぽど犬が好きだったのでは?

 

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さいごに

日本史の教科書がこんなに可愛い犬たちばかりなら、もっと楽しくなりますね。

これをきっかけに日本画に興味をもたれたら、他の作品もごらんになってみてください!

 

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