【奇想の絵師】長沢芦雪のかわいい「芦雪犬」は犬好きなら知っておきたい!

あなたは「日本画」といえばどのようなイメージをお持ちですか?

おそらく日本の風景や、歴史上の人物を描いた作品を思い浮かべる方が多いと思います。

しかし!「長沢芦雪」は違います。

芦雪は「奇想の絵師」という異名をもち、当時では普段描くことのないモチーフや、現実には存在しない状況を数多く描いていました。

ということで今回は、長沢芦雪をご紹介します!

ころころと太った「芦雪犬」をあなたはきっと飼いたくなる。

 

長沢芦雪ってどんな人?

長沢芦雪
名前長沢芦雪(ながさわ ろせつ)
長沢蘆雪、長澤蘆雪とも表記
生没年1754年 – 1799年
影響を受けた画家円山応挙
代表作『虎図』(1786)
『宮島八景図』(1794)

江戸時代の絵師。

円山応挙の優秀な弟子で、師とは対照的に、見るもの圧倒する大胆な構図、奇抜な画風が特徴の「奇想の絵師」。

しかし、「応挙に破門された」「毒殺された」「自殺した」など不穏なウワサが多いです。

犬好きには有名な画家。

 

略歴

年齢出来事
1754年0歳現在の綾部市・福知山市周辺に生まれる。
1778年25歳この頃には円山応挙に弟子入りしている。
1786年 – 1787年33齢南紀滞在中に障壁画を制作する。
1799年45齢逝去

 

画風

円山応挙の弟子だが、大胆な構図、斬新なクローズアップを用い、奇抜で機知に富んだ画風。

黒白、大小の極端な対比や、写実を無視した構図が特徴的で、障壁画にはその傾向がはっきり表れている。

作風は基本的に明るく軽快であるが、晩年になって『山姥』のような時折グロテスクで陰惨な印象の作品を残した。

同時代の曽我蕭白、伊藤若冲とともに「奇想の画家」「奇想派」などと言われる。

 

代表作品

『虎図』(1786)長沢芦雪
『虎図』(1786)長沢芦雪

作品名虎図
製作年1786年
所蔵個人蔵
サイズたて 62.2 x よこ 66.9 cm

 

『宮島八景図』(1794)長沢芦雪
『宮島八景図』(1794)長沢芦雪

作品名宮島八景図(重要文化財)
製作年1794年
所蔵文化庁
サイズたて 34.0 x よこ 47.0 cm

 

長沢芦雪の犬作品

岩上猿・唐子遊図屏風

『岩上猿・唐子遊図屏風』(1785)長沢芦雪
『岩上猿・唐子遊図屏風』(1785)長沢芦雪

作品名岩上猿・唐子遊図屏風
(がんじょうさる・からこあそびずびょうぶ)
製作年1785年
所蔵個人
サイズたて 167.0 x よこ 376.0 cm

作品の左下で、唐子(からこ)と遊ぶ犬たち。

同じような犬種が多いのは、写実を無視した画風によるものでしょうか。

この作品の犬はどちらかと言えば「応挙犬」(円山応挙が描く犬)よりですね。

 

幽霊・髑髏子犬・白蔵主図

『幽霊・髑髏子犬・白蔵主図』(1781 - 1789)長沢芦雪
『幽霊・髑髏子犬・白蔵主図』(1781 – 1789)長沢芦雪

作品名髑髏子犬
(どくろこいぬ)
製作年1781 – 1789年
所蔵藤田美術館
サイズたて 141.4 x よこ 31.6 cm

骸骨と犬。

この作品で長沢芦雪がどういった人物かお分かりいただけたと思います。

かわいい仔犬をドクロといっしょに描くというセンス。

生と死の対比を表現しているのでしょうか。

「奇想の絵師」と言われたゆえんが垣間見えました。

 

降雪狗児図

『降雪狗児図』(1781 - 1789)長沢芦雪
『降雪狗児図』(1781 – 1789)長沢芦雪

作品名降雪狗児図(こうせつくじず)
年代1781 – 1789年
所蔵逸翁美術館(大阪)
寸法たて 114.5 × よこ 50.9cm

白い犬の口元と目元を見ると、ものめずらしそうに雪を見ている様子が伺えます。

一方、黒の犬はあまり興味を示していないのか、背中に雪がぽつり。

こういった白と黒の対比を意識的に取り入れた表現は初期の洋風画にもみられていました。

水墨画を基調とした淡い画風の長澤芦雪に珍しい、濃厚な一作です。

 

母子犬図

『母子犬図』(1781 - 1789)長沢芦雪
『母子犬図』(1781 – 1789)長沢芦雪

作品名母子犬図
(ぼしいぬず)
製作年1781 – 1789年
所蔵墨田区
サイズたて 112.0 × よこ 50.5 cm

母犬のお乳をのむ子犬。

あれ、この犬先ほどの黒い犬と似ていませんか?

もしかしたら同じ犬かもしれませんね。

もしくは先ほどの作品の小犬が成長してお母さんになったのかもしれません。

こうやって絵を見て想像するのもアートの楽しみ方の1つです。

 

一笑図

『一笑図』(1789 – 1801)長沢芦雪

作品名一笑図
(いっしょうのず)
年代1789 – 1801年
所蔵同志社大学文化情報学部
寸法たて 153.1 × よこ 87.9 cm

こどもたちとわちゃわちゃ遊ぶ犬たち。

「犬」という字に「竹」をつけると「笑」、これが作品名の由来です。

なので、竹の下で背中に隠された一匹の子犬が描かれています。

仔犬たちも心なしか笑っているみたい。

ぼくは特に股の間からひょいと顔を出す犬が大好きです。

 

白象黒牛図屏風

『白象黒牛図屏風』(1789 – 1801)長沢芦雪

作品名白象黒牛図屏風
(はくぞうこくぎゅうずびょうぶ)
年代1789 – 1801年
所蔵仙台市博物館(宮城)
寸法たて 155.3 × よこ 359.0 cm

屏風をはみ出してしまう程仰々しい黒牛とお腹の近くにチョンと座る間抜けな顔をした白い子犬。

芦雪の作品に特徴的な大小・黒白の対比です。

 

『白象黒牛図屏風』(1789 – 1801)長沢芦雪

この犬がかわいいいいい。

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ヨコズワリーヌ

 

『白象黒牛図屏風』(1789 – 1801)長沢芦雪

作品名からわかる通り、実は黒牛の対比にはこれまた圧巻の白い巨象が描かれています。

そして、象の背中には小さな黒いカラスが2羽。巧妙な対比の使い方で、200年以上人を魅了し続けています。

 

紅葉狗子図

『紅葉狗子図』(1790)長沢芦雪
『紅葉狗子図』(1790)長沢芦雪

作品名紅葉狗子図
(もみじくじず)
製作年1790年頃
所蔵ウォルターズ美術館
サイズ

紅葉の下で遊ぶ5匹の犬たち。

芦雪が犬を描くようになったのは、円山応挙の影響だと言われています。

しかし、表現の仕方は芦雪によるオリジナルです。

 

薔薇蝶狗子図

『薔薇蝶狗子図』(1794 – 1799)長沢芦雪

作品名薔薇蝶狗子図
(ばらちょうくしず)
製作年1794 – 1799年
所蔵愛知県美術館
(木村定三コレクション)
サイズたて 127.4 × よこ 50.2 cm

バラと蝶と5匹の犬たち。

楽しそうな表情を描くのが上手いです。

芦雪犬らしいポージングも見せています。

 

『かわいい こわい おもしろい 長沢芦雪』岡田秀之 / 新潮社
『かわいい こわい おもしろい 長沢芦雪』岡田秀之 / 新潮社

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