今回は、ホラー要素強めの犬映画『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』をご紹介します。
実は、犬版『猿の惑星』とも呼ばれていて、「メタファー山盛りの風刺」や「映画史上最多の犬の登場」などおもしろ要素が盛りだくさん!
200匹以上の犬が画面をいっぱいにする圧倒的な映像をご覧ください!
ただし、犬好きには少し見るのが辛いです。。。
『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』の作品情報
作品名 | ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲 (原題:Fehér isten) |
ジャンル | ドラマ、SF、ホラー、スリラー |
公開年 | 2014年 |
監督 | コルネル・ムンドルッツォ |
キャスト | ジョーフィア・プソッタ シャンドール・ジョーテール |
・ストラスブール・ヨーロッパ・ファンタスティック映画祭…オクトパス・ドール(国際長編映画部門)
・第87回アカデミー賞外国語映画賞にハンガリー代表作として出品
『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』のあらすじ
13歳の少女リリと愛犬ハーゲンは、母親の出張のため父親のもとに預けられることになる。
重税を理由に犬を飼うことを嫌う父親はハーゲンを捨てた。
そして、ハーゲンは野生に目覚め、ひどい扱いをした人間へ反乱を起こし出す。
『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』に登場する犬
『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』2014年/インターコム より引用
役名 | ハーゲン |
名前 | ボディとルーク |
犬種 | ラブラドールミックス |
主人公の愛犬ハーゲンはボディとルークの2頭で演じています。
無邪気に遊ぶ姿や、歯をむきだしにして怒る姿、それぞれに合ったシーンを分けて演じました。
パルムドッグ賞はこの2頭だけではなく、作中の他約200頭にも与えられました。
野良犬と保護犬、飼い犬が混ざっているのが分からないくらい、犬たちの自然な演技は圧巻です。
ただ、ここまで犬たちを指導したドッグトレーナーこそが「パルムドッグ賞」をもらうべきかと思います。(笑)
『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』2014年/インターコム より引用
すごいの250頭もの犬たちと少女が「ふせ」をするシーン。
野生化したハーゲンが少女のラッパの音色を聴いて、かつての関係を思い出し落ち着きを取り戻している様子です。
ドラクエ5のボロンゴ(キラーパンサー)が、ビアンカのリボンの香りでもう一度仲間になったのを思い出します。
これほどの数の統率がとれた犬の集団は映画でしか見られないので、見る価値アリです。
『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』の3つのおすすめポイント
パルムドッグ賞を受賞した250匹の犬たちの迫真の演技
作中の犬は、飼い犬、保護犬、野良犬が混ざっているのが分からないくらい見事な演技をします。
しかも、CGは一切無し!わずか4ヵ月のトレーニングで、ここまで仕上げたそうです。
犬たちの演技のシーンでは、250匹もの犬たちと少女が「ふせ」をするシーンが圧巻の出来。
これほどの数の統率がとれた犬の集団は映画でしか見られないので、それだけでも見る価値アリです。
奥が深い!実はメタファーを用いた社会派映画?
この映画を見た人の感想を見てみると、
「人間=富族層、犬=貧困層に例えた比喩で、”貧困” “虐待” “力の支配”等へのアンチテーゼを投げかけている。」
「あきらかにメタファーに満ちたノワール寓話といった感じ。」
「少女はリベラル派のメタファー。思想なき父親は世論のメタファー。」
(アマゾンレビューより引用。)
といった、別の視点で作品のメッセージを捉えている人がおられました。
ただの犬がたくさん出てくる映画ではない!
しかし、後半のB級ホラー感はもはや笑える超展開
メタファーだらけの社会派映画としても楽しめますが、何も考えずにB級ホラーとしても楽しむことができます。
気になるのは、野生化したハーゲンが、人間に復讐しにいくシーン。
血が飛び散る残虐なシーンなのですが、ハーゲンを含め犬たちの知能が急激に上がり過ぎて、「いやいやありへんやろ!」とツッコミたくなります(笑)
『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』を見た感想・レビュー
アマゾンのレビューでは辛めの☆2.8(DVD自体へのレビューを含めます)。犬への暴力シーンが苦手な人が多いようです。
評価: 5.0少女はリベラル派のメタファー。思想なき父親は世論のメタファー。施設は政府。水は国家。裏社会に搾取される移民質。テロリストにはテロリストなりの理由あり。東欧の縮図が見事に描かれてる。こりゃよくできてるわ。
評価: 3.0演出と言うか、調教と言うか、人懐っこさを失ってゆき鬼神と化す雑種犬ハーゲンの演技が素晴らしい。
カンヌ国際映画祭 「ある視点」部門グランプリ受賞作だが、主演男優賞モンではないか?
評価: 1.0期待して観たのに、登場人物も全員最低。犬が可哀想。終わり方も納得いかない。見なきゃよかったって思う作品。
(アマゾンレビューより引用。一部省略。)
『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』はどんな人におすすめか
- 犬を俳優犬として見れる人
- 変わった映画が好きな人
- ホラー、スリラーを楽しめる人
- 社会派映画が好きな人
演出で犬が傷つくシーンがたくさんあるので、犬が傷つくのを耐えられない人はおすすめできません。
もちろん、犬の血は血のり、鳴き声は人の声で表現しているので、犬に害はありません。
犬の怒った表情もドッグトレーナーの方と犬の訓練の賜物です。それらを理解できると、よりいっそう楽しめます!
残念なのは、置いているビデオ屋さんが少ないこと。見つからない人のためにリンクを貼っておきます。
さいごに
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