映画『ペット』をホラー映画として見た感想

• 学校に行くお兄ちゃん
• デートに出かけるお姉ちゃん
• 仕事に向かうお父さん
• 買い物に出かけるお母さん

そんなみんなを見送りに毎朝玄関まで来てくれる愛犬たち。

では、そんな犬たちは飼い主がいない間、家で何をしているのでしょう？

今回ご紹介する映画『ペット』は飼い主が留守中の“犬だけの世界”を垣間見れるお話です。

記事タイトルで誤解を招いてしまっていますが、ペットはホラー映画ではありません。心温まるほっこり映画です。でも、そんな映画だからこそ一歩深く考えてみました。そこには一種の「ホラー」があったのです。

『ペット』の作品情報

『ペット』に登場する犬

名前が分かる犬たちはこのくらいですが、他にもプードルやセッター、パピヨン、チワワ、シェパードなどたくさんの犬が登場します。

自分の飼っている犬種が出てこないかチェックするのもおもしろいですね。

『ペット』と『トイストーリー』 の違い

人間が見ることができない世界を描いた話でいえば、似たような設定の映画に『トイ・ストーリー』があります。

こちらは「持ち主がいない間、おもちゃたちは何をしているのか」という映画。

『ペット』と『トイ・ストーリー』、それぞれ飼い主や持ち主が知らない世界があるというのがこれらの映画のミソです。

でも、そこには微妙な違いがあります。下の表で簡単にまとめました。

注目して頂きたいのが、作品内でキャラたちの願望の描き方。

トイ・ストーリーをご覧になった方はご存知かと思いますが、ウッディやバズたちの願望は、おもちゃの持ち主アンディ、ボニーに遊んでもらうこと。人間がいる時も、人間がいない時も、彼らは同じ気持ちでいます。人間のおもちゃとして生まれた彼らは人間のおもちゃとして生きるのが本望なのです。

対してペットの動物たちは違います。犬はペットとして生まれたわけではありません。かけがえのない生命の１つとしてこのように生を受けました。そんな犬たちにとって、人間という存在の解釈は1匹1匹異なります。

主人公マックスのように毎日ドアの前でいつ飼い主が帰ってくるか楽しみに待っている犬もいれば、パグのメルみたいに自分の陣地がリスに取られないか心配している犬もいる。ポメラニアンのギジェットはテレビに恋愛、ダックスフントのバティは自分の体をミキサーでマッサージするのが好きです。みんな自分のしたいことをする。

つまり、犬にとっての人間は、おもちゃみたいにすべての欲求を満たす存在ではなく、欲求の一部を満たす存在にすぎないのです。

人間が知っているペットの顔、人間が知らないペットの顔

「pet」を日本語で言うと「愛玩動物」。そして、おもちゃは「玩具」とも言います。

両者に共通する漢字「玩」は、「もてあそぶ、めでる」という意味です。ペットもおもちゃも、人間は同じ「あそぶ」「めでる」存在として家に迎え入れます。

しかし、そこには人間の知らないペットの顔があるかもしれないのです。人間のペットでありながら、ペットではない一面。

飼い主がいない間に犬たちがしているかもしれないことを、映画『ペット』が映像化したことで、未知の世界がビジュアライズされました。

キッズアニメではない見方で見ると、なんだか世にも奇妙な物語を観たあとのような不思議な感覚を味わえるのです。

そこに少し怖さを感じたのでした。

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