30匹以上の犬を作品に描いたゴーギャンは愛犬家だった?

  • 2018年10月31日
  • 2021年2月5日
  • アート

今回ご紹介するのは「ポール・ゴーギャン」です!

『Pastorales Tahitiennes』Paul Gauguin

ゴーギャンと言えば、こういう「タヒチの女性」を描いた作品で有名です。

しかし、気付きました?

そう、犬の絵も描いてるんです。

しかも、その量が尋常じゃない。

単純なことにゴーギャンが大の犬好きだったのかもしれません。

タイトルに「犬」を入れた作品は3つありますし、晩年にはペゴーという犬も飼っていました。

そんな愛犬家(かもしれない)ゴーギャンの作品をお楽しみください!

ポール・ゴーギャンってどんな人?

名前 ポール・ゴーギャン
生没年 1848年 – 1903年
影響を受けた画家 カミーユ・ピサロ
ポール・セザンヌ
エドガー・ドガ
フィンセント・ファン・ゴッホ
エミール・ベルナール
代表作 黄色のキリスト(1889)
タヒチの女たち(1891)

19世紀フランスのポスト印象派の画家。

綜合主義やクロワゾニズムと言われる表現を生み出したり、プリミティヴィズムを先行したりと、美術史に多大な影響を与えた人物です。

生前も評価を受けていたが、死後さらに評価を得ました。

略歴

年齢 出来事
1848年 0歳 パリで生まれる。
1851年 3歳 父親を亡くす。
1867年 19歳 母親を亡くす。
1871年 23歳 株式仲買人として働く。
その後11年間、実業家として成功する。
1873年 25歳 メット=ソフィー・ガッドと結婚する。
絵を描き始める。
1883年 35歳 絵に専念する。
1886年 38歳 ブルターニュ地方のポン=タヴァンの画家のコミュニティで暮らす。
1888年 40歳 ゴッホと共同生活をする。
1891年 43歳 タヒチに行く。(1回目)
1895年 47歳 タヒチに行く。(2回目)
1897年 49歳 娘を亡くし、自殺においこまれる。
1901年 53歳 マルキーズ諸島に移動
1903年 55歳 逝去

画風

ポスト印象派。

フォークアートと日本の浮世絵の影響を受け、クロワゾニスムへと向かっていきました。

その他、綜合主義、プリミティヴィズム、象徴主義、現代美術の画家としても知られています。

ナビ派に影響を与えました。

代表作

『The Yellow Christ』Paul Gauguin
作品名 黄色のキリスト
(The Yellow Christ)
製作年 1889年
所蔵 オルブライト=ノックス美術館
サイズ たて 92 x よこ 73 cm
『Femmes de Tahiti, ou Sur la plage』Paul Gauguin
作品名 タヒチの女たち
(Femmes de Tahiti, ou Sur la plage)
製作年 1891年
所蔵 オルセー美術館
サイズ たて 69 x よこ 91.5 cm

ゴーギャンの犬作品

2人のブルターニュの人々と仔牛、ブルターニュの道の周りの風景

Bretonnes au tournant d’une route, ou Bretonnes et veau』Paul Gauguin
作品名 2人のブルターニュの人々と仔牛、ブルターニュの道の周りの風景(Bretonnes au tournant d’une route, ou Bretonnes et veau
製作年 1888年
所蔵 ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館
サイズ たて 91 cm × よこ 72 cm

真ん中下に黒い犬。

首輪がつけられていることから、誰かに飼われていたようですね。

これからご紹介する3作は「南フランスのアルル」という場所で描かれた作品です。

なんと、ゴーギャンはこの時期ゴッホといっしょに生活していたそうです。

でも、仲が悪くなってゴーギャンはゴッホの耳を切ったとか。

やべーやつ。

ブルターニュの3人の少女の輪舞 ポン=タヴァン

『Breton Girls Dancing, Pont-Aven』Paul Gauguin
作品名 ブルターニュの3人の少女の輪舞 ポン=タヴァン(Breton Girls Dancing, Pont-Aven)
製作年 1888年
所蔵 ナショナル・ギャラリー
サイズ たて 73 cm x よこ 93 cm

3人の踊る少女と犬。

『バックトゥザフューチャー』のアインシュタインに似てます。

引用:青い日記帳

ちなみに、2011年、京都と東京で開かれた「ワシントンギャラリー展」を記念して、この犬がピンバッジになって販売されていました。

欲しいけどもう手にいれられないっぽい。

ワシントン犬 ピンバッジ | 

三匹の仔犬がいる静物

『Nature morte aux trois petits chiens』Paul Gauguin
作品名 三匹の仔犬がいる静物(Nature morte aux trois petits chiens
製作年 1888年
所蔵 ニューヨーク近代美術館MoMA
サイズ たて 88 × よこ 62.5 cm

ミルクか何かを飲んでいる3匹の仔犬たち。

3匹とも模様が違って、シンプルにかわいい。

しっかりした輪郭線から、クロスワニズムという表現で描かれていることが分かります。

クロスワニズムとは

平坦な色面としっかりした輪郭線を特徴とする描き方(Wikipediaより)

これまでの3作が「ブルターニュ2期」に分類される作品です。

1期はというと、単純に犬の絵が描かれていなかったので省いています。

こんにちは、ゴーギャンさん

『Gauguin Bonjour Monsieur Gauguins』Paul Gauguin
作品名 こんにちは、ゴーギャンさん(Gauguin Bonjour Monsieur Gauguins)
製作年 1889年
所蔵 プラハ国立美術館
サイズ たて 113× よこ 92 cm

柵の向こうに小さい犬。

シュナウザーかな?

ここからの4作はフランスの「クロアール=カルノエ」という場所で描かれた作品です。

『Gauguin Bonjour Monsieur Gauguins』Paul Gauguin

この作品、実は2種類あります。

彩度の違い以外に、よく見るとびみょーに違うところがあるので、どこが違うか探してみてください。

ジャンヌダルク

『Jeanne d’Arc, ou Jeune Bretonne au rouet』Paul Gauguin
作品名 ジャンヌダルク(Jeanne d’Arc, ou Jeune Bretonne au rouet)
製作年 1889年
所蔵 ゴッホ美術館
サイズ たて 134 x よこ 62.9 cm

ジャンヌダルクの下にいる白い犬。

ヤギにも見える。

机の上の果物と犬

『机の上の果物と犬』Paul Gauguin
作品名 机の上の果物と犬
製作年 1889年
所蔵
サイズ 46.5 cm × 53 cm

机の向こうにいる犬。

海草を集めるブルターニュの人々

『Ramasseuses de varech』Paul Gauguin
作品名 海草を集めるブルターニュの人々(Ramasseuses de varech)
製作年 1889年
所蔵 フォルクヴァンク美術館
サイズ たて 87 x よこ 123 cm

左下に黒ぶちの白い犬。

ゴーギャンの絵に出てくる犬は首輪をしている犬が多いようですね。

ここまでの4作が「ブルターニュ3期」に分類される作品です。

ところで「ブルターニュ」とは、フランス北西部の地域の名前です。

このブルターニュ地方にある「ポン=タヴァン」という街は、「画家たちのまち」と言われ、有名な画家たちが共同生活を行い日々画業に勤しんでいました。

私はラロ、あなたはオヴィリ

『Raro te oviri 』Paul Gauguin
作品名 私はラロ、あなたはオヴィリ(Raro te oviri)
製作年 1891年
所蔵 ダラス美術館
サイズ たて 68 x よこ 90 cm

2人の女性に囲まれた黒い犬。

ここからの8作品は「タヒチ」で描かれた作品です。

ゴーギャンはこれでもかというくらいタヒチで絵を描いています。

特にヌード多めです。

大木

『Te raau rahi』Paul Gauguin
作品名 大木(Te raau rahi)
製作年 1891年
所蔵 クリーブランド美術館
サイズ たて 68 x よこ 90 cm

右下にまるまって寝る犬。

奥にいる黒いのも犬かなー?

私はラロ、あなたはオヴィリ

『Te Faaturuma』Paul Gauguin
作品名 私はラロ、あなたはオヴィリ(Te Faaturuma)
製作年 1891年
所蔵 ダラス美術館
サイズ たて 68 x よこ 90 cm

ベランダでお出迎えする黒い犬。

こういう家に住みたい。

小屋の前の犬、タヒチ

『Dog in front of a Hut Tahiti』Paul Gauguin
作品名 小屋の前の犬、タヒチ(Dog in front of a Hut Tahiti)
製作年 1892年
所蔵 ボストン美術館
サイズ 41.2 x 67.1 cm

右下で草を食べている黒い犬。

気付きました?

タヒチの犬、黒ばっか。

パペに行く

『Haere Pape』PaulGauguin
作品名 パぺに行く(Haere Pape)
製作年 1892年
所蔵 バーンズ・コレクション
サイズ たて 91.2 x よこ 66.4 cm

奥で水を飲んでいる黒い犬。

え、ちょっと見てください!また黒い!

愉び

『Arearea』Paul Gauguin
作品名 愉び(Arearea)
製作年 1892年
所蔵 オルセー美術館
サイズ たて 75 × よこ 94 cm

手前で草を食べる茶色の犬。

いやいやいや、黒ちゃうんかい!

ちなみにタイトルの漢字は「たのしび」と読みます。

タヒチの牧歌

『Pastorales Tahitiennes』Paul Gauguin
作品名 タヒチの牧歌(Pastorales Tahitiennes)
製作年 1892年
所蔵 エルミタージュ美術館
サイズ たて 87.5 x よこ 113.7 cm

ふせをいる茶色い犬。

この犬も茶色。色ばかり気になってきました。

プラオの樹

『Te burao』Paul Gauguin
作品名 プラオの樹(Te burao)
製作年 1892年
所蔵 エルミタージュ美術館
サイズ たて 67 x よこ 89 cm

何かを探している黒い犬。

はい、きた。黒い犬!

もう、待ってましたって感じでしょ?

ここまでの8作は「タヒチ1期」に分類される作品です。

ゴーギャンの傑作の多くはこの時期に描かれています。

ちなみに、出てきた犬は、「黒6:茶色3」で黒の勝利です。

神の日

『Mahana no Atua』Paul Gauguin
作品名 神の日(Mahana no Atua)
製作年 1894年
所蔵 シカゴ美術館
サイズ たて 66 x よこ 87 cm

木陰で涼む犬。

か、もしくは猫かもしれません。

たまに、犬か猫かヤギが見分けがつきにくい動物が描かれています。

ここからの2作品は「パリ」で描かれた作品です。

パリに戻った後も、タヒチを題材に絵を描いていたので、タヒチの絵が多いんです。

デビッドミル

『Paysage de Bretagne. Le moulin David』Paul Gauguin
作品名 デビッドミル(Paysage de Bretagne. Le moulin David)
製作年 1894年
所蔵 オルセー美術館
サイズ たて 73 × よこ 92 cm

何かを探している犬。

大きいのでゴールデンレトリバーかもしれませんね。

この2作品は「ブルターニュ4期」に属する作品です。

働くなかれor部屋の中のタヒチ女たち

『Eiaha ohipa』Paul Gauguin
作品名 働くなかれor部屋の中のタヒチ女たち(Eiaha ohipa)
製作年 1896年
所蔵 プーシキン美術館
サイズ たて 65 × よこ 75 cm

家の外でたたずむ犬。

タヒチに戻ってきたゴーギャン。

はい、犬もちゃんと黒いです。

ここからの8作品は2回目の「タヒチ」で描かれた作品です。

女王

『Te Arii Vahine』Paul Gauguin
作品名 女王(Te Arii Vahine)
製作年 1896年
所蔵 プーシキン美術館
サイズ たて 97 x よこ 130 cm

全裸の女性うしろにいる犬。

黒いよ~黒いよ~。

我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか

『Woher kommen wir Wer sind wir Wohin gehen wir』Paul Gauguin
作品名 我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか(Woher kommen wir Wer sind wir Wohin gehen wir)
製作年 1897年 – 1898年
所蔵 ボストン美術館
サイズ 139.1 cm × 374.6 cm

右は端に黒い犬。

そろそろ絵の説明しないと怒られそうなので説明します。

この作品はゴーギャン自身も傑作と認めている作品だそうです。

しかしこの頃、娘を亡くしたショックとたまった疲労で、自殺まで追い込まれました。

『Te rerioa』Paul Gauguin
作品名 夢(Te rerioa)
製作年 1897年
所蔵 コートールド・ギャラリー
サイズ たて 95 x よこ 130 cm

人間の左隣りにいるのが犬。

かもしくは、猫。自信ないです。

おめかし

『Faa iheihe』Paul Gauguin
作品名 おめかし(Faa iheihe)
製作年 1898年
所蔵 テート・ブリテン
サイズ たて 54 x よこ 169.5 cm

真ん中左に黒い犬。

果実収穫

『Ruperupe』Paul Gauguin
作品名 果実収穫(Ruperupe)
製作年 1899年
所蔵 プーシキン美術館
サイズ たて 130 x よこ 190 cm

右端でお母さん犬が子供といっしょにいます。

二人の子供とタヒチの女

『Femme et deux enfants』Paul Gauguin
作品名 二人の子供とタヒチの女(Femme et deux enfants)
製作年 1901年
所蔵 シカゴ美術館
サイズ たて 97.1 x よこ 74.2 cm

右の女の子に抱えられた犬。

これも猫っぽいですが犬と思いましょう。

浅瀬or逃亡

『La Fuite, ou Le Gué』Paul Gauguin
作品名 浅瀬or逃亡(La Fuite, ou Le Gué)
製作年 1901年
所蔵 プーシキン美術館
サイズ たて 73 x よこ 92 cm

馬の後ろに犬。

タヒチの人が犬好きだったのか。ゴーギャンが犬好きだったのか。

ここまでの8作品が「タヒチ2期」に分類される作品です。

ここからゴーギャンはマルキーズ諸島に移動します。

犬のある風景

『Paysage avec chien』Paul Gauguin
作品名 犬のある風景(Paysage avec chien)
製作年 1903年
所蔵 イスラエル博物館
サイズ たて 73.5 × よこ 92.5 cm

遊んでいる犬。

タイトルに犬が入っていますね。やはり犬好きだったようです。

この一作は「マルキーズ諸島」で描かれた作品です。

この島でゴーギャンの人生はおわりました。

さいごに

ゴーギャンは黒い犬が好き。

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